人が集い、
音楽が生まれる場所。
1997年、小さな集まりから始まったGRECO。
人と人との出会いから音楽が生まれ、その音楽がまた、新しい出会いを連れてくる。
振り返れば、GRECOの歩みは、そんな「ご縁」の積み重ねでした。
GRECOは、1997年にオープンしました。
けれど、はじめからライブハウスだったわけではありません。
月に一度の小さな集まりと、そこを訪れた一人のピアニスト。
GRECOの物語は、そんなひとつの出会いから始まりました。
最初は月に一度、親しい人たちを招いて開く、小さなパーティのような場所でした。
食事を囲み、言葉を交わし、同じ時間を楽しむ。
そんな集まりに、あるとき一人のピアニストが訪れます。
その出会いをきっかけに、また一人、そしてまた一人と、音楽家との縁がつながっていきました。
誰かが誰かを連れてきて、そこでまた、新しい出会いが生まれる。
そうして少しずつ音楽のある夜が増え、いつしかGRECOは、現在のライブハウスの姿になっていきました。




店名の「GRECO」は、ローマ・コンドッティ通りにある歴史的なカフェ、Antico Caffè Grecoに由来します。
芸術家たちが自然と集い、そこから新しい文化が生まれる場所。
GRECOという名前には、そんな店でありたいという想いが込められています。
1760年に創業したAntico Caffè Grecoには、ゲーテ、バイロン、キーツ、シェリー、スタンダール、ゴーゴリなど、時代を越えて多くの芸術家や文化人が集いました。
音楽家、作家、画家、思想家たちが自然と集い、語り合い、そこからまた新しいものが生まれていく。
「ここも、そんなふうにアーティストが自然と集まる場所になってほしい。」
そんな想いを込めて、この店に「GRECO」と名づけました。
そして振り返ってみれば、GRECOもまた、人が人を呼び、新しい出会いが生まれる場所として歩んできたように思います。


2011年、ひとつのご縁から、GRECOに一台のスタインウェイがやって来ました。
それまで店のステージを支えてきたのは、YAMAHAのグランドピアノ。
この一台との出会いが、やがてGRECOならではの音楽を生み出すことになります。
当初は、スタインウェイを迎えるのと同時に、それまで使用していたYAMAHAと入れ替える予定でした。
けれど、長くGRECOで演奏してきたミュージシャンや、お客様から聞こえてきたのは、
「YAMAHAも、このまま残してほしい。」
という声でした。
その声に背中を押されるように、GRECOは二台のピアノを残すことを決めました。
スタインウェイとYAMAHA。
最初から計画していたわけではなかった、二台のグランドピアノ。
この偶然ともいえる選択から、GRECOの新しい音楽が始まりました。


スタインウェイとYAMAHA。
二台のグランドピアノが並んだことで、GRECOには、それまでになかった音楽が生まれました。
普段なかなか実現しない、ピアニストとピアニストの共演。
今では「2台ピアノ」は、GRECOを象徴するスタイルのひとつです。
当時、小規模なライブハウスに二台のグランドピアノを常設し、二台ピアノのライブを行うことは、ほとんど例のない試みでした。
そして、この二台が生み出したのは、単なる「珍しい編成」だけではありませんでした。
普段、ピアニスト同士が同じ現場で演奏する機会は、決して多くありません。
だからこそ、二人のピアニストが同じ空間で向き合い、互いの音を聴きながら音楽を交わしていく時間は、演奏する側にとっても特別なものになりました。
「あの人と一緒に弾いてみたい。」
そんな、なかなか叶わなかった組み合わせが、GRECOの小さな空間で実現する。
憧れていたピアニスト同士の共演。世代を越えた組み合わせ。思いがけない出会いから生まれる新しい音楽。
大きなホールではなく、演奏者の息づかいまで伝わるほどの距離で、二台のグランドピアノが響き合う。
それはお客様にとっても、演奏するピアニストにとっても、GRECOならではの特別な時間になっていきました。
2022年。
長い年月を重ねてきた二台のピアノを、これから先もGRECOで響かせていくために、スタインウェイとYAMAHA、二台とも完全オーバーホールを行いました。
GRECOの専属調律師の紹介で、二台のピアノを浜松の町工場へ。
長い時間をかけて、一台一台、丁寧に手を入れていただきました。
二台とも年代を重ねた古いピアノです。
それまでの黒い艶消しの塗装を剥がしてみると、その下から現れたのは、美しい木目でした。
新しく何かを飾るのではなく、長い間隠れていた、そのピアノ本来の表情を活かす。
そうして二台は、黒いピアノから、木の表情をそのまま見せる現在の姿へと生まれ変わりました。
もちろん、変わったのは外見だけではありません。
これからもこの場所で音楽を奏で続けられるよう、二台とも内部までしっかりと手を入れ、再びGRECOのステージへ戻ってきました。
長い年月を生きてきた二台だからこそ持つ音と、新しく蘇った木の表情。
今ではその姿もまた、GRECOを象徴する風景のひとつになっています。
一台のピアノとのご縁。二台を残してほしいという人々の声。そこから生まれたピアニストたちの共演。そして、二台を未来へつないでくれた職人たちの手。
GRECOの「2台ピアノ」は、そんなたくさんの人とのつながりによって、今も受け継がれています。


2015年、GRECOは、ステージの位置そのものを変更する大規模な改装を行いました。
店の姿は変わっても、大切にしたかったことは変わりません。
演奏する人と、聴く人の距離が近いこと。
演奏する人と、聴く人。
その距離が近く、同じ空間で音楽が生まれる瞬間を共有できること。
目の前で奏でられる音。演奏者の息づかい。そして、その夜、その場所にいる人たちだけで生まれる空気。
大きなホールとは違う、小さなライブハウスだからこそ味わえる音楽があります。
GRECOは、そんな時間を大切にしてきました。



2020年。
新型コロナウイルスの感染拡大によって、それまで続いていたライブが、すべて開催できなくなりました。
それでも、音楽を届けることを止めたくない。
GRECOは、それまでまったく経験のなかったライブ配信に挑戦しました。
ミュージシャンがステージに立ち、お客様が目の前でその音を聴く。
GRECOが長い間、大切にしてきたその時間そのものが、突然失われました。
そこで始めたのが、ライブ配信でした。
もちろん、最初から配信の知識があったわけではありません。
カメラも、映像も、配信の仕組みも、私たちにとっては、ほとんど未知の世界でした。
それでも、音楽を届ける方法をなくしたくない。
配信に詳しいミュージシャンやエンジニア、さまざまな方々に力を貸していただきながら、一つひとつ覚え、環境を整えていきました。
どうすればGRECOの音をきちんと届けられるのか。
どうすれば画面の向こうにも、この小さな空間の空気を感じてもらえるのか。
試行錯誤を重ねながら、音にも映像にも妥協せず、GRECOらしいクオリティのライブ配信を目指しました。
何も分からないところから始めた私たちが、多くの人の力を借りながら、自分たちが納得できる配信を届けられるようになったこと。
それはGRECOにとって、大きな自信になりました。
そして同時に、この店を支えてくれる人たちの存在を、あらためて感じた時間でもありました。
扉を開けてお客様を迎えることができない日々の中でも、音楽を止めず、届け続けることができた。
その経験は今も、GRECOの大切な誇りのひとつです。


1997年、小さな集まりから始まったGRECO。
一人のピアニストとの出会いから、少しずつ音楽家の輪が広がりました。
一台のスタインウェイとの出会いから、二台ピアノという新しい景色が生まれました。
音楽を届けることさえ難しくなった時には、多くの人の力を借りながら、新しい方法で音楽を届けることにも挑戦しました。
たくさんのミュージシャンとお客様、そしてGRECOに関わってくださった人たちに支えられながら、店の姿も少しずつ変わってきました。
振り返れば、GRECOの歩みはいつも、「ご縁」の積み重ねだったように思います。
ローマのAntico Caffè Grecoに憧れ、
「さまざまなアーティストが自然と集う場所にしたい。」
そんな想いから名づけたGRECO。
30年という時間を経て、いつの間にかこの場所にも、たくさんの音楽家が集い、数えきれないほどの音楽と出会いが生まれてきました。
2027年、GRECOは30周年を迎えます。
これからも、素晴らしい音楽と人が出会い、人と人がつながり、そこからまた、新しい何かが生まれていく場所でありたい。
人が集い、音楽が生まれる場所。
これまでも、そしてこれからも。
それが、GRECOです。
当サイトは、サイトの改善と公演・お問い合わせへの導線の把握のため、Google アナリティクスを利用します。Cookieなどを用いて閲覧ページやボタンの操作を収集します。氏名・メールアドレスなどのフォーム入力内容は送信しません。詳しくはGoogleのデータ利用についてをご確認ください。